チャットとねこ





『にゃこ・あたしはねこ』

 この子は、どこかおかしいのだろうか。

『サクラ・え?』
『にゃこ・ねこ』

 左上にある『退室』という名の逃げ道へ行くか。
それとも右下にある『発言』という名の夢道を行く
か。迷う。迷う。まよう。マヨウ。

『にゃこ・…おちた?』
『サクラ・います』
『にゃこ・だったらはんのうしてよ』
『サクラ・いやいや、猫って』
『にゃこ・ねこなんだから、ねこっていってもおか
しくない』
『サクラ・んなわけないでしょ』
『にゃこ・ねこ。きょうのさんぽはおわった』
『サクラ・ほんとう?』
『にゃこ・ほんと』

 息を吐いてみる。震えている。
 猫なわけが無い。そんなことあるわけない。

『にゃこ・さむかった。外』
『サクラ・へえ』
『にゃこ・あんた、にんげんでしょ?』
『サクラ・あたりまえじゃない』
『にゃこ・そうでもないよ。ここには動物、いっぱ
い』

 今まで、動物と関わったことない。

『にゃこ・にんげんにいいたいこと、ある』
『サクラ・え?』

 キーボードから手を離した。あごの下で組む。

『にゃこ・ねこだからって、からかわないで』

 返信はしなかった。続くだろう。そう思って。

『にゃこ・どうぶつだって、いきてる。にんげんと
おなじ。いきてる。いのち、もってる』

(にゃこ さんが 退室しました)

 いのち、もってる?
 動物に命があることなんて知っている。何年も、
何十年も知っている。
 だが『いのちあるもの』として接したことはあっ
ただろうか。
 
 生きてる。

動物に触れてそう感じたことはあっただろうか。

















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公開日  2007.1.24
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